台風と富士山噴火

 今回の台風 11 号は予想されたほどには日本・本州を直撃しなかった.予報がまあいいほうに外れたわけです.



 ここからはいきなり根拠のない話.勝手な妄想.
 台風の進路予報が外れて,日本には来ないといっていたのに実際は直撃してしまい,備えが甘かったために被害が大きくなった,という例はあまり聞かない.10 年近く前になるか,九州から日本海に抜けた台風が進路を変えて,青森を西のほうから襲った,という例の「落ちないりんご」台風の例はよく覚えているけれど.
 どうしてこうなるのか.そりゃあ,もともと台風予報なんて不可能だからではないのでしょうか.台風の進路予報って一応スーパーコンピュータで計算しているんですかね.でも,そんな計算なんて無理,ですよね.計算できたとしても「予測信頼区間」はとっても広いはず.「到達予想円」のようなものが発表されているけれども,あれは本当のところ,信頼確率どの程度なんだろう? データは,年間 20 〜 30 個分はあるわけだから,事後に検証できるはずですね.誰かやってないだろうか?
 今後の進路を予測するためには,そのときの気圧配置とかのメッシュ情報が必要だろう.台風の進路予想ともなるとそのメッシュも結構粗いはずだ(根拠もなく勝手に書いている).メッシュサイズから,予測精度の下限が導けるだろう.それはどの程度の精度なのだ? 関東か,関西か,を区別できるのか? それとも...
 さらに,発表される予報はコンピュータによる数値計算の結果そのままではないはずである.(ベテラン)予報官が過去の経験を加味して,進路を「予測」しているのではなかったか.もちろん最近ではこの「過去の経験を加味」するステップ自体もコンピュータ内で行っているのかもしれない.いずれにせよ,過去に同じような気圧配置だったときには台風はこのように進んだ,という事前情報で調整しているわけである.
 ここで疑問.事前情報,とはいっても,それはあくまでも過去の情報.そのときと現在とでは地球環境は異なっている.気温が違うだろうし,偏西風蛇行具合も違うだろう.そのような一種のトレンド情報は考慮されているのか.何らかのトレンド係数のようなもので事前情報は重み付けされているのか.もしされているとしても,株価,為替の予測もできていない今の時代に,構成要素数がもっと多く(気体分子,とか),そのくせ,過去の情報が少ない(せいぜい数十年分しかない),という状況で,トレンドの外挿が本当にできるものだろうか?
 もちろん,そもそもの予測誤差がとてつもなく大きいことから比べると,そんなトレンド考慮の有無の影響は小さい小さい,かもしれませんが.

 (非線形性,とかカオス,とか考える必要があるのかもしれない.しかし,今回はそこまで深入りはしない.あくまでも「妄想」を楽しんでいるだけだから)

 何が言いたいかというと,だから,「予報」と称してはいるけれども,実際のところは,バイアスがかかっているのではないかということ.日本に来るか来ないかあいまいだったら(信頼円がとっても広かったら)「来る」という予報にしておこう,というわけだ.予報が外れた時の公共のリスクを考えるとその方がいい.逆の外し方をしてしまったらどんな非難を受けることやら.

 富士山が噴火しますよ,という「予知」と,結局のところ同じなのではないか?
 まあとりあえず,警告を出しておけ.