「患者」の犯罪率とか

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

この著者も、自身の発作時の破壊衝動について記している。ただ、幸いなことにその衝動は物にしか向かわなかった。それは意識したことなのか。対人での衝動を抱いてはならないという「自制」が働いたのか。いや、妄想が起こっている発作時にそのような「理性」は働かないだろう。だとするとそれは病状したでも保たれる「無意識」のなせる業か、あるいは、本能的なものなのか。
いわゆる「精神病者」のほうが犯罪率は低いからどうこう、という議論がよくなされる。データに基づけばそのとおりなんだろう。でも、発作時の衝動が人に向かうことも事実としてあるのだ。そして、「目の前の人」がその衝動に駆られるかどうかを判断する際に、精神病下にあるかどうか、というのは有効な基準となる。条件付けの問題ともいえる。
もっとも、犯罪率算出の生データを見ていないからなんともいえないのだが、その際の分母から入院患者はちゃんと除外されているのか? ま、入院下でも、時には閉鎖病棟内でも、さらには、保護病室内でも対人傷害は発生しうるわけだから、分母から除外する必要もないのだが、一般的な感覚では、「市中の人」を分母にして比較したい。だって、「対照」のほうの分母には刑務所内に隔離されてる人は含まれていないだろう? あれ? そうかな。
そもそも比率として小さいから除外してもしなくても影響ないのかもしれん。
でも、入院患者を含むか除外するかは結構大きく影響するぞ。