発症の日のこと(続)

 きっかけの一つは風呂だった。
 その週は月曜日から具合が悪く、実家に帰っていた。そして 11/3 祝日、朝からマンションに戻ってきたのだ。あまり眠れなかったと言い、すっきりしないから風呂に入ってみる、と 10:00 前から入浴を始めた。
 風呂からあがり、ドライヤーを使い、そうして、「ああぁー」という絶叫の声が聞こえてきた。そのまま、というわけだ。
 しかし、今思うに、その光景を私はその時に初めて遭遇したというふうにはとらえていない記憶がある。それ以前にも同じようなことがあったのだろう。もちろんもう少し軽症で、もう少し短く、そして、それまでは元に戻っていた。
 あの時は重く、かつ、永遠だった。
 2006 年だからもう一人はちょうど 2 歳になったところだ。その光景を少し離れて見ていた。不思議なものを見るように。何だか心配で近寄っていきたいのだが、怖いから近づけない。あの光景を彼は覚えているのだろうか?
 叫び、泣き、のたうちまわる中、私は専門病院の救急外来を探し続けた。救急車を呼んでも何ともならないことはわかっていた。
 地図を持ち、タクシーに乗った時には大きな発作は鎮まっていた。体力を使い果たした感じだった。しかし、体は硬直していた。病院までは車で大体 50 分。
 ハロペリドールを筋注され、少しずつ落ち着き、帰りのタクシーでは寝続けていた。
 この日から私の闘いは始まった。今に続く、病院通いが始まった。



 タクシーで病院へ連れて行く。私の中で、それは恐怖の行為。もうこのまま戻らないのでは、という恐れと心配。トラウマ。