発症の日のこと

 あの日、どういうことがきっかけで発症に至ったのかは誰にもわからない。ある単一のことがトリガーになったわけでもなかろう。しかし、その経緯を確かに私は見ていた。もちろん、その数週間前、あるいは数ヶ月前からゆっくりと発症へと progress していたのだ。ただ、脳内で何が起こっていたのかもわからない。何らかのマーカーでその過程をとらえられるとも思えない。相転移のようにそれはやってきた。