ヴァレリーの言葉

読売朝刊一面『編集手帳』より
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20111231-OYT1T00027.htm

〈われわれは後ろ向きに未来へ入ってゆく〉。あたかも行く手に背を向けてボートを漕ぐように。詩人バレリーの言葉という。人が見ることのできる景色は過去と現在だけである。あの日、あの朝、すぐ後ろに何が待っているか、誰も知らなかった
忘れたいものと、忘れてはいけないものと、心に重い船荷を載せた今年の航海も、じきに終わる。

 そうだ、われわれは誰も未来を見ることはできず、そして、誰もが未来へ進んでいかねばならないのだ。