今日の本

米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)

米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)

 最終章(通訳と翻訳の違い)のみ再読。チェコのソヴィエト学校での国語指導。授業で一段落ずつ本を読ませ、その要約を自分の言葉で語らせる。図書館に本を返す際、司書にその一冊の要約を話す。感想は求められない。

読み終わった後にすぐに内容をかいつまんで言わなくてはいけないとなると、ものすごく攻撃的で立体的な読書になっていくわけです。

文を読んだり聴いたりして感受していくプロセスは、このように分析的なのですね。理解するというプロセスは分析的です。ところが、話したり書いたりして表現するときは、バラバラになっているさまざまな要素を統合していかなくてはなりません。

日本について無知であることを克服するために何をしたかと言うと、やはり本を読みました。日本の文学作品を読もうと思いました。それはなぜかと言うと、文学こそがその民族の精神の軌跡、精神の歩みを記したもので、その精神のエキスである、とプラハの学校で先生方からいつもいつも教えられていたから(です)。