今日の本
- 大野晋 『日本語練習帳 (岩波新書)』
- 「IV 文章の骨格」の章はもう何度も読んでいる.要約ではなくて「縮約」と大野先生は言う.まず縮約をした後で,要約をしてみなさい.
- 読書感想文は何の訓練にもならない.(pp.123)
感想とは,おのおのの人のそれぞれの体験,あるいは過去に読んだ書物の記憶などが,新しい読書とぶつかりあって生じるものです.
(...)
感想文とは書き手の条件に左右されるもの.また,一度ざっと読んだだけでもいちおうは書けるものです.それでは文章の力は養われません.そのうえ,感想文を書かなくてはと思うと,読書の楽しみが失われ,読書が荷物になり,本を読むことが喜びでなくなる.
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- そして,こうやってけんかを売る.
学校の先生方が生徒に感想を書かせるのは,一人一人違った感想が出てくるのを,読み手として楽しみたいという気持ちがある.
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- 実際は,そうそう楽しくもないとは思いますが.いずれにせよ,こう結論づける.
生徒のためにはそれよりも,個々の作品を精確に読みとる練習をまずさせるべきで,文章を読む眼力を鋭くさせる方が先でしょう.先生は生徒の縮約の答案にあらわれる微かな差に気を配って,生徒とつきあうべきだと思います.