今日の本

瀬戸内 柴門さんはなぜ,いま,そんなに仏像にひかれたんですか.
柴門 もともとは美術品として好きだったんです.きれいだな,とか,上手につくってるなって・・・・・・.そういうふうに見るうちに,ありがたさが,だんだんわかってきました.仏像関連の書物を読むと,私はすごく仏教に近いとわかってきて,そんなに信心深い人間じゃないんですけど,ますますひかれている感じがするんですね.

瀬戸内 偶像を拝むのはおかしいといいますよね.私たちが信仰する場合,尊いとか仰ぐとかって,光のようなものでしょう.だけど人間というのは,情けないことに具象で示してくれないと,光のようなものには拝みきれないんですね.やっぱり形がほしい.そこで仏師が生まれるんです.